blog 江戸の色恋艶咄

時代劇漫画原作者・篁千夏のブログ

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漆(ウルシ)の可能性

ちょっと気になった話題を取り上げてみます。

《海外も注目!伝統の「ジャパン」漆を科学してわかった「すごい秘密」》現代ビジネス

 1万年に迫る耐久力をもち、日本文化を象徴する存在だった漆器や漆工芸品。いつしか日本人の生活から縁遠いものとなったが、いまふたたび、世界の愛好家から熱い視線を浴びている。

 漆(うるし)とは、そもそもどのような塗装材料なのか──科学の目を交え、今日的な魅力に迫ってみよう。 


 英語圏で磁器をChinaと呼ぶのはともかく、漆器をJapanと呼ぶのは、実はさほど一般的ではない……という指摘もございますが、そこら辺の議論は英語に堪能な方にお任せするとして。日本を代表する工芸品が漆器。なにしろ世界最古の漆器が日本で見つかっているのは事実でございます。北海道の垣ノ島遺跡から、約9000年前の副葬品が出土しており、中国最古の漆器が約7400年前でございますから、日本のほうが1600年以上古いことになります。もっともこれは、新たな発見で塗り替えられるのが常でございますが。

 しかも垣ノ島遺跡の漆器は、赤い色しておりまして、丹塗りの漆器がすでに存在したことが、驚きです。黒以外の漆の技法を編み出すには、時間が必要でございます。もっと驚くのは、漆は中国の浙江省四川省、河北省などが産地で、日本の漆とは成分は異なりますが、タイやベトナムなどの熱帯域でも生産されます。つまり北海道というのは、漆が潤沢にある地域とは、離れておりす。現在でも瀬戸内海や日本海側の県が盛んで青森や秋田県などでも漆器の伝統がございますが、北海道では近代以降のようでございますね。

 伝統工芸はどれも後継者不足で悩まされておりますが、世界的には日本の漆器の評価は高く、蒔絵や螺鈿細工など、本当に溜息が出るほど美しいものです。終身雇用が崩れた現在、このような伝統芸能で世界を相手に商売してみるのもまた、サラリーマンの安定を望むより、可能性があるのかもしれません。確かに、伝統工芸は習得に10年ほどの期間が必要なものが多いですが、それは板前でも大工でも同じこと。逆に、修行のノウハウは確立されております。途絶えさせるには惜しい文化ですし、このような記事には勇気づけられますね。

 筆者も螺鈿細工の万年筆、欲しくなりましたよ。